いよいよ日本でも開業される予定のカジノ。そのカジノ設置に関するこまかな規定を定めたのが「カジノ法案」。今回はこのカジノ法案について分かりやすく解説していきます。
カジノ法案(IR法案)とは?
「カジノ法案」とは、通称を『統合型リゾート(IR)整備推進法案』、正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」といいます。
つまり、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をつくるための法律です。そのリゾート施設(IR)の中に、カジノが含まれるので『カジノ法案』と呼ばれています。
カジノ法案は2つの法案から成り立っており、2016年12月に成立した「IR推進法」と、2018年7月に成立した「IR整備法」があります。
- 「IR推進法」は、カジノを含めた「特定複合観光施設」を作る目的や手順を具体的に示したもの
- 「IR整備法」は、「IR推進法」をもとにIRの整備を実施していくプログラム
整備法におけるカジノ法案の内容は以下のようになっています。
- IRを設置する区域での整備に関する規定
- カジノ関連事業に関する規定
- 入場料や納付金などの財務関連の規定
- 監督や罰則などの一般条項
統合型リゾート施設(IR)とは
統合型リゾート施設(IR)とは「複合観光集客施設」のことです。文字どおり、さまざまな観光施設が集まった場所となります。
英語では「Integrated Resort(インテグレーテッド・リゾート)」と呼ばれ、「Integrated」は総合的な、統合された、「Resort」リゾートという意味です。
ここから分かるように、カジノ法案で注目されるカジノ施設はIRのほんの一部にすぎません。
海外からのファミリー層を主にターゲットとしているため、健全性と安全性が保たれた総合観光施設となっています。
世界の統合型リゾート
海外のIRリゾート(統合型リゾート)をご紹介します。
シンガポール
すっかり『カジノの街』として世界中に知れ渡っている「シンガポール」には、統合型リゾート(IR)が2ヶ所あります。
ひとつは、3棟のビルの屋上が船形でつながっているシンガポール最大の政府公認カジノがある「マリーナ・ベイ・サンズホテル」です。
もう一つ、政府公認のカジノとしてセントーサ島に「リゾート・ワールド・セントーサカジノ」があり、こちらもシンガポール初のカジノ施設として長年観光客から大人気となっています。
マカオ
日本から飛行機で約4時間程度と気軽に訪れることができる「マカオ」。
マカオは、カジノホテルや独特なランドカジノが立ち並ぶ「マカオ半島」および大型複合施設やカジノ併設の統合型リゾートがある「タイパ島」が有名です。
マカオのカジノ収益は、あのラスベガスを抜いて「世界一位」の売上高を誇っているほどの大反響となっています。
ラスベガス
カジノと言えば、誰もが真っ先に思い浮かべるカジノ都市「ラスベガス」。
ラスベガスには、劇場やアトラクション、ホテル、レストランなどが併設されたカジノ施設が多くあります。
世界を代表するカジノ併設のIRリゾートとして「ザ・ベネチアン・リゾート・ラスベガス」や「アリアリゾート アンド カジノ」、「ウィン ラスベガス」などがあります。
日本の統合型リゾートの予定
日本の統合型リゾートは、国内にカジノ施設の誕生を目指すものではなく、「観光業で日本に外貨を落としてもらう」というのが主な目的です。
国内および海外の観光客が訪れやすく、日本の魅力を発信できる統合型リゾートを目指しています。
- 日本の魅力を発信し体験できる施設(劇場、演芸場、音楽堂、競技場、博物館、美術館、レストラン等)
- 大規規模な宿泊施設
- アジア最大級のMICE施設を目指した国際展示場などの施設
〈日本カジノの開業までの流れ〉
日本のカジノの開業までの2021年以降の流れ(予定)は以下のようになっています。
- IR誘致に挑む自治体が国に申請を行う(2021年10月1日〜2022年4月28日)
- IR候補地を正式決定(2022年後半〜2023年頃)
- 建設業者の選定
- カジノライセンスの認可
- 統合型リゾートの開発に着手(2023年以降)
- 日本の統合型リゾートをオープン(2025年頃)
日本のカジノ場所はどこになる
カジノ施設を含むIRの設置は、全国で3カ所と予定されています。これはギャンブル依存症への対策のひとつとも言えますが、カジノ法案により最初のIR開業から7年後にはさらにIR開業区域を増やすように、その設置数を見直すことができるとしています。
2021年9月時点で日本のカジノの候補地として有力視されている場所を3ヶ所、IR誘致を検討している都市2ヶ所、撤退を決定した自治体を合わせてご紹介します。
<カジノの候補地として有力視されている場所>
大阪府大阪市
大阪府は、カジノ法案が話題になった当初からIR誘致に名乗りを上げているカジノ候補地の代表格です。2025年に開催が予定されている万博とセットで誘致活動に取り組んでおり、2025年万博開催地の夢はすでに実現しています。
万博を決定させた勢いのままカジノ誘致も実現するのでしょうか。大阪府の最大の強みは、自治体および地域住民が足並みを揃えて積極的な誘致活動に取り組めていることです。
また、海外からのアクセスも抜群で、候補地となっている「夢洲(ゆめしま)」の広大な土地も大きな魅力となっています。
長崎県佐世保市(ハウステンボス)
横浜市の正式撤退により、いよいよIR誕生に現実味が帯びてきた最有力候補のひとつ長崎県。議員および地域住民の賛成派が、反対派を大きく上回っている点が大きな強みです。
また、候補地となっている佐世保市にある「ハウステンボス」はすでに完成したリゾートとインフラがあり、初期投資を抑えられる点も大きな魅力です。
さらに、日本への観光客の大半を占める韓国・中国などのアジア地域からのアクセスの良さもメリットとなっています。
和歌山県(マリーナシティ)
和歌山県も大阪府同様、昔からカジノ誘致に積極的な自治体です。2004年頃からカジノ誘致活動に取り組んでおり、大阪と合わせたIR誘致計画を行っています。
近接する大阪に比べ様々な面で劣ると言われていますが、大阪と一体となった計画でどこまでアピールできるかが今後の誘致活動の大きなポイントとなりそうです。
<誘致表明を検討している候補地>
そして誘致表明はしていませんが、有力候補地として挙げられているのは以下の自治体です。
東京都(お台場)
日本の大都市・東京都にIRが誕生するという望みもまだ残っています。カジノ法案が話題となっていた当初は「お台場カジノ構想」を掲げていた東京ですが、知事の交代などを背景に白紙状態が続いています。
東京都の都市規模と経済効果は大きな強みですが、大阪府、長崎市、和歌山県の積極的さに劣る点をどうカバーできるかまた、正式表明はできるのかが今後の焦点ではないでしょうか。
愛知県(名古屋市、常滑市)
愛知県は名古屋市と常滑市の2つの都市で誘致活動が行われています。愛知県としては常滑市を、名古屋市としては市内への誘致を行っています。
常滑市は空港から直接アクセスできる利便性、名古屋市は東京、大阪の真ん中に位置する立地条件を強みとして誘致活動に取り組んでいます。
しかし、現在は愛知県と名古屋市が対立状況にあり、県と市が一体とならずして大阪府や長崎市、和歌山県などの有力候補地に勝てるのか?という課題があります。
<誘致から撤退した候補地>
神奈川県横浜市
2019年8月にIR誘致を正式表明し、大阪府に次ぐカジノ候補地の最有力候補として挙げられていた横浜市ですが、2021年9月16日にIR誘致の正式撤退を表明しています。
撤退の背景には、2021年8月の横浜市長選挙により、カジノ誘致を進めてきた現職の林文子氏が落選し、IR誘致撤退を公約に掲げていた山中竹春氏が当選したためです。
以前から住民の反対を大きな課題としてきた横浜市が、選挙を通して正式に反対派が勝利したという形になりました。
北海道(苫小牧・留寿都)
千葉(幕張)
日本のカジノで遊べるゲームを紹介
日本のカジノフロアで認めるカジノゲームは9種21分類(種類)と決定しました。
- バカラ(2分類):コミッションバカラ/ノーコミッションバカラ
- トゥエンティワン(4分類):ブラックジャック/ブラックジャック6to5/ブラックジャックスイッチ/ポンツーン
- ポーカー(8分類):カリビアンスタッド/スリーカード/テキサスホールデム/ミシシッピスタッド/レットイットライド/オマハポーカー/テキサスホールデム/ポーカートーナメント
- カジノウォー
- シックボー
- クラップス
- ルーレット(2分類):シングルゼロルーレット/ダブルゼロルーレット
- マネーホイール
- パイゴウ
- 電子ゲーム機(ビデオスロットなど)
なぜ日本にカジノ?メリットはあるの
そもそもなぜ日本でカジノを開業するのか、カジノを含めた統合型リゾートの3つのメリットをご紹介します。
経済の活性化
日本にカジノを開業する理由は端的に言えば、海外からの観光客を増やしてお金を落としてもらうためです。
少子高齢化により人口が減少に転じた日本経済は今後、その規模が縮小することが予想されます。そこで海外からの旅行者を増やして国の収入を増やそうというわけです。
また、リゾート開発に関わる情報機器、鉄鋼、ホテルや施設建築などで一次効果が生まれ、さらに2次効果として飲食、電気などを通した経済効果も生まれます。
雇用の創出
カジノを含めた統合リゾートを整備することにより、そこで働く多くの人材が必要になります。
また、周辺の観光も合わせて活性化することで雇用者が大幅に増加することが期待されます。
地域の活性化
IRを整備することで、道路などのあらたなインフラ開発が行われます。
交通手段が充実することにより、IR以外の商業施設へも観光客が足を延ばすことが期待できます。その結果、周辺地域の活性化も期待できるということです。
カジノ開業で懸念される問題点とデメリット
続いて、日本にカジノが開業することにより懸念されるデメリットを説明していきます。
ギャンブル依存症の増加
カジノでギャンブルをする日本人も増えることから、ギャンブル依存症となる人が増加することが懸念されます。もちろんそのための予防策などもカジノ法案に盛り込まれています。
周辺地域での治安悪化
カジノを開業することで観光客が増加し、周辺地域の治安が悪化することが懸念されます。ロンドン市ではその対策として専門ユニットが組成されているように、何らかの安全対策が必要と考えられます。
周辺地域経済の衰退
メリットである地域経済の活性化に対して、まったく逆の立場となる反対意見もあります。その内容としては、IRはあらゆる施設を内包する自己完結型の総合施設であることから、既存する周辺の商業施設から客足を吸い上げることになるというものです。
問題への対策案と規制
カジノ開業にともなう懸念材料に対する対策案と規制をご紹介します。
〈カジノにおける規制機関〉
カジノ運営には関連機器における技術面の監督やマネーロンダリング対策、ギャンブル依存症対策などさまざまな対応が必要になります。そこでカジノの規制や監督・監視、免許の付与といった役割を担う独立機関が2020年1月に設立されました。それが「カジノ管理委員会」です。
その役割の内容として、以下のようなものがあります。
- カジノ事業の規則ルール策定
- カジノ事業者やカジノ関連機器の製造事業者などの参入規制
- カジノ不正行為の防止や勧誘の制限、本人確認などに関する整備
- カジノ施設の数や規模の規制
- 依存防止対策やマネーロンダリング対策などの対応
〈依存症対策〉
IRにおけるカジノ開業で懸念されるのは刑法との整合性のほかに、ギャンブル依存症があります。
これは刑法との整合性を検討するうえで考慮すべき項目の8番目にもありますが、2018年7月に「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立し10月に施行されています。
そして具体的に以下のような取り組みを行うことで、ギャンブル依存症への対策を取ることになります。
- 教育への振興など
- ギャンブル等依存症の予防などに資する事業の実施
- 医療提供体制の整備
- 社会復帰の支援
つまり最初にギャンブル依存症に関する教育を行って予防し、依存症になった人のための医療体制を整備して社会復帰できるようにするということです。
〈カジノ規制〉
ギャンブル依存症やマネーロンダリングを防止するため、カジノ施設そのものに対しての規制ももちろんあります。具体的に次のようなものとなっています。
- カジノ事業には有効期限3年(更新可)のカジノ管理委員会の免許が必要
- カジノ事業関係者も免許・許可・認可制とする
- IR区域におけるカジノ施設のゲーミング区域を全床面積の3%とする
- 日本人等の入場回数を制限(連続する7日間で3回、連続する28日間で10回)
- 入場回数確認にマイナンバーカードの提示及びその公的個人認証を義務付ける
- 20歳未満の者や入場料等未払者などへの入場禁止
カジノ賛成派と反対派の意見
日本にカジノが誕生することには、メリットおよびデメリットが混在しています。そのため、日本人みなさんの意見も賛成派と反対派に分かれるのが自然な現象と言えます。
ここでは、ツイッターを中心に実際にどんな賛成意見と反対意見が出ているのかをご紹介していきます。
〈賛成派の意見〉
- AIの普及などにより雇用機会が減っていく将来にIRは欠かせない
- シンガポールやマカオの成功事例をみると、観光客の増加は確実に見込める
- カジノ施設はIRのわずか3.0%であり、その他の施設からも多くの収入を見込める
〈反対派の意見〉
- ギャンブルに頼る日本政権の経済対策はピントが外れている
- 海外資本が参入するのであればお金が海外に流れていくだけのため反対
- 賄賂や汚職が問題になっている時点でIR誘致を中止するべき
カジノが開業される場所はいつ決まる?
IRが設置される場所が決まるのは正確にはわかりませんが、開業までのスケジュールから逆算すると2022年ごろではないかと考えられます。
ただし新型コロナウィルスの影響で2021年10月から始まる予定だった自治体の申請も延期されるなど、スケジュールが修正されることは予想されます。
結局カジノはいつオープンする?
コロナ禍以前は2025年にはオープンするとみられていましたが、2021年3月時点では未定となっています。
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