2020年10月末、いまだ世界中にさまざまな形で影響を及ぼした新型コロナウィルスの縮小のめどは残念ながら見えてきません。
感染拡大は、スポーツベットを運営する各ブックメーカーにもまた大きな影響を及ぼしています。ブックメーカーの動向と最新のニュースをご紹介します。
ブックメーカーでeスポーツが活況!賭け金額が急上昇中
コロナ禍においてスポーツイベントが軒並み中止となるなか、eスポーツが脚光を浴びるようになりました。それに伴い、多くのブックメーカーでもeスポーツを扱うようになっています。
国際サッカー連盟(FIFA)もオンライン開催となる「eNations Stay And Play Cup」を4月に開催する予定を立てていました。実際には運営側の準備不足などにより実現しませんでしたが、オンライン上でのスポーツイベントが開催される可能性を示唆するものとなりました。
そうした中、ブックメーカーでのeスポーツの賭け金が大幅に上昇する傾向がみられます。
これは従来のスポーツベットを楽しんでいた多くのファンが、スポーツ試合や大会のキャンセルにより、eスポーツに賭けるようになったのが理由のようです。ただし、そのようなファンは新型コロナウィルスの終息に伴い、これまで賭けていたスポーツベットに戻ると考えられます。
それでもeスポーツベッティングというあらたな分野が確立されたことにより、今後もその市場は拡大すると予測されています。
コロナ禍の影響で進む米スポーツメディアのブックメーカーへの参入
コロナ禍において減益を余儀なくされているブックメーカーでは、広告費の削減も目立つようになりました。
例えば、ウィリアム・ヒルの場合、2020年上半期までの広告費は前年の180万ドルから13万4000ドルにまで引き下げています。
一方でドラフトキングスのように、前年の700万ドルから1900万ドルに引き上げたブックメーカーもあります。これはスポーツベッティング市場は今後も拡大を続けると考えているためで、広告を掲載するスポーツメディアとの関係をさらに深めると予測されます。
ただし、米スポーツメディアがブックメーカーのコンテンツをどのように提供するのかは、まだ模索状態のようです。
そのイメージを明るいものにしようとするスポーツメディアがある一方で、立ち上げたYouTubeチャンネルのコンテンツをほとんど更新していないスポーツメディアもあります。
あるいはCBSスポーツの場合、スポーツベッティングの専門的な記事を書けるライターを雇う計画を立てています。それぞれのスポーツメディアが独自のアプローチを模索しているようです。
ホームサポーターのみの観戦は試合結果にどう影響する?
新型コロナウィルスの影響で無観客試合が続いていた欧州サッカー連盟主催の試合が、10月第2週よりホームサポーターのみ入場が許可されました。
これによりブックメーカーにおけるオッズが、どのように影響を受けるのか気になるところです。というのも、ホームチームがアウェイチームに勝つ確率は歴史的にみて約2倍となっているからです。
この理由としてさまざまな要因が考えられますが、ホームチームの選手はサポーターを落胆させたくないと、アウェイチームよりもやる気に満ちているとの見方もあります。いわゆる「損失回避」の心理的特性が働くということです。
ホームサポーターのみの観戦によるなかで行われる試合は、従来のホームでの試合よりもさらにホームチームにとっては有利になると考えられます。それがブックメーカーのオッズにどう反映されるのか、注目したいところです。
英大手のウィリアム・ヒルが実店舗119店舗を閉鎖
英大手ブックメーカーのウィリアム・ヒルは2020年8月5日、ロックダウンにより営業を停止していた店舗のうち119店舗を閉鎖すると発表しました。
これはロックダウンが緩和されたことで売り上げが回復したものの、店舗を利用する顧客数が新型コロナウィルスの流行前の水準にまで回復する見込みがないと判断したためです。
ウィリアム・ヒルは英国内に1500のベッティング店舗を構えています。そしてスポーツベットのために多くの人が店舗に足を運び、スポーツ観戦とともに賭けを楽しんでいました。
しかし営業を再開してからも、多くの試合が中止になっている影響を受けて、店舗での売り上げは大幅な減少となっています。