ブックメーカーのことを調べていると、「アービトラージ(Arbitrage)」という単語を目にすることもありますよね。
アービトラージに関わる話は、儲け話のようなものから、注意喚起を促す物騒なものまで、多岐に渡ります。
それでは、そもそも「アービトラージ」とは一体どんなものなのでしょうか?
この記事では、「アビトラージとは?」「ブックメーカーのアービトラージの仕組み」「アビトラージの問題点」「アビトラージを活用するには」など、具体例を用いて分かりやすく説明していきます。
アービトラージの仕組みや問題点を正しく理解し、ブックメーカーで活用することで収益を向上させることが期待できます。
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アービトラージとは?
アービトラージとは「同じ商品が別々の場所で取引されている際に、金利差や価格差を利用して取引し、利益を得る」手法のことを言います。
日本語では「裁定取引(さいていとりひき)」と呼ばれており、金融・証券などの金融業界で使用されている証券用語です。
それでは、具体的にはどのようなことなのかを、以下の例で説明していきましょう。
アビトラージの具体例
たとえば、ある仮想通貨がAという取引所で48万円で購入でき、そのタイミングでBという取引所では、50万円で売却ができるとします。
「Aで48万円で購入・Bで50万円で売却」という行動を同時に行うと、2万円の利益をあげることができます。
例のように、【同じ商品が・違う場所で・異なる金額】で取引されている場合、相反する取引を同時に行うことにより、利益を発生させることができます。このことを『アービトラージ』と呼びます。
この、買額と売値の差額によって生じる利益のことを証券取引では「利ざや」と呼ぶそうです。よって、アービトラージは「鞘とり」と呼ばれることもあります。
ブックメーカーでのアービトラージとは
では、ブクメでのアービトラージとは、どのようなケースになるのでしょうか?例を用いて仕組みを説明していきます。
ブックメーカーでの具体例
例えば、翌日MLBの試合が行われるとして、そのオッズが各ブクメで以下の通りになっているとします。
ニューヨーク・ヤンキース(NYY) vs ボストン・レッドソックス(BOS)
- ブクメAでのオッズ:1.5倍(NYY勝利)/2.9倍(BOS勝利)
- ブクメBでのオッズ:1.2倍(NYY勝利)/3.5倍(BOS勝利)
この場合、【同じ商品(NYY vs BOS)が、違う場所(ブクメAとB)で、異なる金額(それぞれのブクメのオッズ)】で提供されているため、先ほどのアービトラージの原理に当てはめることができます。
そして、この例のオッズの時に、ブクメAでNYY勝利に70ドル、ブクメBでBOS勝利に30ドルをそれぞれベットしたとします。
すると、結果は以下の通りになります。
- NYYが勝利した場合…70ドル×1.5倍 = 105ドル(5ドル勝利)
- BOSが勝利した場合…30ドル×3.5倍 = 105ドル(5ドル勝利)
どちらのチームが勝利しても、確実に勝利をすることができます。
ブクメAのオッズで両チームにベットしても当然負けますし、ブクメBのオッズだけでも同じです。
1つだけのブクメではなく、2つ以上の複数のブクメのオッズを比較し、そのオッズの差異を利用して確実に利益を獲得する…これが「ブックメーカーでのアービトラージ」です。
ブクメでのアービトラージは、スポーツ・アービトラージ(Sports Arbitrage)やシュア・ベット(Sure Bet)とも呼ばれています。
アービトラージの問題点
アービトラージは、結果に関わらず確実に勝つことができる、理論上はそうなっています。
しかし、美味しい話だけではありません。ブクメでのアービトラージには様々な問題点があるのです。
まず、アービトラージの理論が適用できるオッズを探し当てるのが大変です。各ブクメのオッズを比較し、かつオッズの変動に注意をしなければならないため、パソコンやスマホに長時間張り付きになります。加えて、複数のブクメにまとまった金額の入金が必要になるため、資金も必要となります。かなりの時間と根気、そして資金力を投じなければなりません。
そして、一番の問題点は、ほぼ全てのブクメでアービトラージを行うことが良しとされていない点です。ブクメは、プレイヤーが好ましくない行為や不審な行為を行った場合、プレイヤーにペナルティを与えることができるというルールを規約に入れています。
アービトラージだけを狙って賭ける行為は、ペナルティの対象となります。そのペナルティは重く、マックスベット(ベットの金額の上限)の制限を課せられたり、最悪のケースではアカウントの凍結にもなります。
また、ブクメは不審なベットをキャンセルする、ということもできます。せっかく手間隙かけて、アービトラージを探し出しベットしても、ペナルティを課せられたり、無効になったりしまう可能性があるのです。
アービトラージを行うことはかなりのリスクを伴うということです。
ブックメーカーのルール内でアービトラージは活用できる?
ここまで、ブクメでのアービトラージの危ない面を見てきましたが、ブクメのルール内でアービトラージを活用する方法もあります。
キャッシュアウトを行えない場合のリスクヘッジとして
キャッシュアウトとは、自分の行ったベットをキャンセルすることができる機能で、多くのブクメに搭載されています。試合結果が出る前に自分のベットを確定させることができるため、プレーする上で非常に重宝する機能です。
ただ、このキャッシュアウトが行えないケースや、そもそもキャッシュアウトに対応していないブックメーカーもあります。
このような場合に、アービトラージの原理を理解していると、キャッシュアウトの代わりとして使用することができます。
活用例1)
例えば、前の項目で例として出したNYYとBOSの試合で、NYYの勝利にベットしていたとします。ただ、試合の経過はBOSがリードし、どうやらBOSが勝利しそうな展開になってきました。
その際に、他のブクメ等でBOSの勝利にベットをし直すことによって、負け額を抑えることができます(いわゆる「損切り」)。
時間差を利用してアービトラージを活用する
時間差でアービトラージを利用する、とはどのようなことでしょうか?具体例を挙げて説明していきます。
活用例2)
サッカーのワールドカップを例にご説明します。通常、大きな大会のオッズは、大会前の早いタイミングから公開されます。
基本的には、早ければ早いタイミングほど良いオッズで公開されていることが多いです。これは、選手の怪我やコンディションなど、大会が終了するまで不確定な要素が多いのが理由の一つに挙げられます。
大会前に公開されたオッズで、ブラジルの優勝(4倍)に100ドルをベット→大会が開幕、決勝戦はブラジルvsスペインになったとします。
このままブラジルが勝利すればそれで良いのですが、スペインの勝利の可能性もあります。スペインのオッズが2倍だったため、スペインにも150ドルベットすることにしました。
合計で250ドルの投資で、ブラジルが勝利すれば400ドル獲得。
スペインが勝利をしても、300ドルを手にすることができ、どちらのチームが勝利しても確実に勝ち金を手にすることができます。
このように、アービトラージの理論を活用すれば、勝利を確実にすることが可能です。
同じタイミングでのオッズ差異を利用したアービトラージは問題視されていますが、このように時間差を活用してのアービトラージは問題ありませんので、非常に有効と言えます。
まとめ
- アービトラージとは、複数のブクメのオッズを比較し、そのオッズの差異で利益を出す手法
- 同じタイミングでのアービトラージは、ブクメのルールに抵触する可能性が高く非常に危険
- 時間差を利用してのアービトラージは、ブクメのルール上問題ないので、非常に有効
アービトラージの原理を理解することで、ブクメでのベットの質は間違いなく向上します。